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aventure
2010.6.2 uploaded
 賭をした翌週の週末。
 ヒル魔が指定したチームとノートルダム大附属高校との試合が開催された。
 クリフォードのデータを取れるのだから、本来なら喜ぶべきなのに、朝からヒル魔の機嫌は悪い。最悪と言ってもよかった。
 「似合ってるじゃねえか。睨んでねえで笑ってみせろよ」
 「うるせっ…!」
 ヒル魔が怒鳴ったところで、ふわり、と風が吹いた。
 思わず、といった様子でスカートを押さえる姿に、クリフォードが堪らず笑い出す。
 「て・め・え…!よりによって今日かよ!悪趣味にも程があんぞ」
 胸倉を掴んだところで、セーラー服姿では全く迫力がない。
 そう、今日のヒル魔は、先日の賭けでクリフォードから指定された日本のセーラー服を着せられていたのだ。
 ヒル魔が試合会場に着いた途端、ドンやタタンカ、バッド他、チームメイトたちの前で、ヒル魔がベンチに入ること、データ を取ることをクリフォードが許可している旨を告げた。
 説明を求めるチームメイトたちに、クリフォードとの勝負ー勝負の内容は伏せたがーを引き分けに持ち込んだ結果だという ことも、データは後で確認して彼以外の選手のデータを取っていたとしてもきちんと消すということも告げ、引き分けになった 以上、ヒル魔にも相応のペナルティがある、と告げたクリフォードが。
 「これに着替えてこい」
 横柄に押し付けてきた紙袋の中には、一体どういう経緯で手に入れたのか、今どきの日本の女子高生らしくカスタマイズ された、つまりは超がつくほど短いスカートの濃紺のセーラー服と、最近の流行りなのか濃紺のハイソックス、ローファー まで入っていた。
 こうして、ノートルダム大附属のベンチには、滅多に見れない爆笑しているエースQBの姿と、彼に一生懸命何か抗議して いる細身の女生徒、という不思議な図が展開していた。
 話している内容が聞こえなければ、微笑ましいと形容してもよさそうな光景だ。
 「日本の制服って結構俺好みだなー。この下は何?」
 「触んじゃねえっ!こっの糞アクター!」
 怖いもの知らずにも、ひら、とヒル魔のスカートを捲ったのは、バッドだ。
 「哀しいなぁ〜。女の格好をさせるなら下着まで完璧であるべきだぞ、クリフォ〜ド」
 ガードが間に合わず、しっかりボクサーパンツを見てしまったドンが言えば、
 「てめえは黙ってろよ!糞エロジジイ!」
 ヒル魔はヒル魔で、茶々を入れてくるドンを真っ向から怒鳴りつける。
 「ヨウイチ、仮にも女性がそんな乱暴な立ち居振る舞いはよくない」
 「仮にも!?俺は仮でもなんでも女じゃねえよ!頭おかしいこと言ってんじゃねえぞ糞ゴボウ!」
 そんな五人の姿を、チームメイトやチアたちは遠巻きにしていた。
 あの、ナードだったはずのヨウイチが、この学校でも選りすぐりのジョックたちを怒鳴りつけ、怒鳴られても誰も怒りださない ことに驚愕していたのだ。
 怒鳴られている四人からすれば、短いスカートの裾を必死に押さえながら、まだ声変わり途中で不安定なせいで、怒鳴ると 途端に高くなる声で罵られても、猫にじゃれつかれているようなものでしかない。
 何より、女の格好をしている相手だと、何を言われてもあまり怒る気になれないのだ。特にバッドとタタンカにその傾向が 強く、ドンも今のヒル魔の姿を見て女子供、というカテゴリーに入れてしまったのか、少しばかり楽しげにしている。
 決して正面から見て女そのものに見えるわけではないが、短いスカートから伸びる脚はほっそりとして、女らしい曲線はどこ にも無い代わり、男らしいごつさも備わっていない。体毛も薄い性質なのか、ハイソックスとミニスカートの間には白く滑らか な肌が覗いている。
 腕も首も細く、身長もまだ170に届かないその後姿は発育不足の少女、といった印象だ。
 実際、早くに親元を離れて生活していたヒル魔は、成長期に必要な栄養をきちんと摂っているとは言えず、周囲が抱くそんな 印象もあながち間違ってはいない。
 「そうキャンキャン吠えるな。うるさくしてると、下着まで女物に変えるぞ」
 ドンの言葉に反応したのか、四人の中ではどうやら一番女に対して心の狭い男が、そんなことを言い出す。
 「誰の、せいだと…!〜〜〜っ、さっさと試合の準備しろよ!手抜きやがったらマジでぶち殺す!」
 まさかそこまで用意しているわけはない、と思うものの、これ以上怒鳴ったところで事態は好転しない。
 自分にそう言い聞かせて、ヒル魔はベンチに陣取ってデータを取る準備をするべく、パソコンを開いた。
 が。
 「…クリフ、タオル貸せ」
 いつものように軽く開いた両足の上にノートPCを置こうとして、下着が丸見えになることに気づく。
 そもそも、普段はズボンでカバーされている太股がむき出しだから、パソコンを置くと痛いのだ。
 周囲が凍りつくのも気にせず、ヒル魔はクリフォードのタオルを奪うと、仕方なく両足をそろえて座り、タオルを敷いた脚 の上にパソコンを置いた。
 「おいおい、クリフォード、本気か?」
 やりとりを見ていたバッドが、周囲の気持ちを代弁するように尋ねると、
 「わかったら手を出すなよ」
 真顔で返されて、マジマジと友人の顔を覗き込むが、相変わらずのポーカーフェイスでどこまで本気で言っているのかは わからなかった。

 「惜しかったな、ヨウイチ」
 試合は接戦の末、ノートルダムが勝った。
 久し振りに一試合通して出た上、ぎりぎりの戦いを強いられたクリフォードは試合の余韻を残して獰猛な雰囲気を纏っている。
 「このぐらいで負ける奴のデータなんかいらねえよ」
 しかし、そのぐらいで怯むような相手ではない。スカートのプリーツを気にしながらでは可愛らしさが先立つが、相変わらず 生意気な言葉が返ってきた。
 「もういいだろ。俺も着替える」
 バックヤードに戻っていく選手の群れに混ざろうとするヒル魔を引きとめ、
 「今はやめとけ。じろじろ見られたくねえだろ。その辺で待ってろ、空いたら声かけてやる」
 選手たちと一緒に着替えるな、と釘をさして、ロッカールームの外で待つように指示をした。
 やがて、選手が全員着替え終わり、バックヤードを静寂が包む。
 まだ外からはチアやチームメイトたちの声が聞こえるが、ロッカールームにはクリフォードとヒル魔の二人だけだ。
 入口に立つクリフォードに背を向けるようにして、ヒル魔が着替えようとすると。
 「約束は覚えてるな?」
 低い声が投げかけられて、びくり、と華奢な背中が震える。
 「…ああ」
 動きが止まったヒル魔の背後から、腕が伸びる。
 「っ!何?」
 「覚えてるんだろう?」
 抱きすくめられて固まるヒル魔の耳に、吐息と共に言葉が流し込まれる。
 その尖った耳の先に口づけられて、やっと固まっていた体が動いた。
 「こ、ここじゃなくても、」
 「場所の指定はなかったな」
 腕の拘束から逃れようと身を捩れば、くる、と反転させられて正面から抱かれる体勢になるだけだった。
 「誰か来たら…っ!」
 「来ても気を利かすだろ」
 そんな台詞に、もちろん安心などできるはずがない。
 いやだ、だめだ、と言葉では抗おうとしているのに、太股に這わされた手が、瞼に、頬に、首筋に落とされる唇が、抵抗する 力を削いでいく。
 極めつけに、自分がした約束を思い出せ、と言われて、とうとうヒル魔は全身から力を抜いた。





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