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2010.11.29 uploaded
「どうぞよろしく、センセイ」
にんまりと笑ってみせた糞ガキは、クリフォード・D・ルイス。
父親はかの有名な実業家Mr.ドンであり、現在通っている、地元でも有名な進学校の中等部では、アメフト部の花形選手として、 2年生にして学園のキングオブジョックスとして君臨している。
つまるところの、欲しいものならば、苦労せずとも手に入れられる、大人からすれば非常に厄介な子供。
蛭魔が家庭教師のアルバイトで初めて教えることになった子供は、そういう子供だった。


「クリフォ〜ド、これからお前を見てくれる先生だ。ご挨拶しなさい」
威厳たっぷりの父親が案内した部屋は、一般的な日本のマンションの一室ならば、ひと部屋まるまる入ってしまいそうな程に広く、 壁にはシアターが、部屋の隅にはシャワールームへと続く扉と、寝室へと続く扉があり、寝室にはバカでかいキングサイズのベッド が置かれている。
蛭魔をちらりと見やったクリフォードは、中学生にして紳士然とした優雅な態度で腰をおり、握手を求めた。
「よろしくお願いします、Mr.ヒルマ」
にこやかな笑顔の裏で、クリフォードは蛭魔を品定めする。
クリフォードにとって、家庭教師というものは、退屈な日常に色を添えるためのゲームの駒にすぎない。
手を変え品を変え、完膚なまでに心を折って、叩き出す。今まで教師たちが一週間以上もったためしはなく、10人以上を叩き出した クリフォードは、そろそろこの遊びにも飽きていた。
背は自分よりいくらか低いが、ジャップの中ではそれなりにある方だろう。
何かスポーツでもしているのか、華奢ながら程よく筋肉がついた、綺麗な体つきをしている。
さらさらと降りている髪は黒、目元はメガネでしっかりとは見えない。
おだやかそうな物腰での応対に、クリフォードは内心で鼻で嗤った。
『もって二三日、ってとこか』
おそらくはベッドでの経験もないだろうと踏んで、今回はそんな風にからかってやるのもいいと、表面上はまったく出さずに嘲笑う。
2、3言葉を交わしたクリフォードと蛭魔は、そのまま部屋を出ていくドンを見送った。

「じゃあ、とりあえず今スクールでやっている内容を教えてくれるかな、今日は先に数学を教えるから」
「それより先に、日本語を教えてください。センセイは日本人なんでしょう」
まずは相手の懐に入ろうかと思案しつつ、にっこりと笑って白い手を取る。
女とはまた違う、ほっそりとした指は、なかなかにクリフォードの好みで、ほんの僅かに気分が浮上した。
「それは、かまわないけど・・・どの程度話せるのかな」
とられた手を気にする風にちらりと見やった蛭魔に、クリフォードは申し訳なさそうな表情を作ってみせる。
「挨拶程度なら・・・ごめんなさい、急に触ったりして、気を悪くしましたか?」
「気にしなくていいよ、じゃあ、日常会話くらいは話せるようになろうね」
にこりと笑った蛭魔は、クリフォードの手をさりげなく押しやる。
それにわずかにむっとしたクリフォードは、顔色を変えてやろうと顔を近づける。
「センセイ、ファックって日本語だとどういう意味なんですか」
下らない言葉でも返すのか、それとも少しは楽しませてくれるのかと、内心で笑いつつ問いかける。
「もう少し使えるやつを教えてあげるよ」
またしてもするりとかわそうとする蛭魔は、真面目そうな見た目に反して、焦る様子もない。
意外に遊んでいるのか、それとも意味を知らないのかと思案して、きっと後者だろうと判断したクリフォードは、本格的にからかう つもりで右腕で細い腰を抱いた。
「クリフォード君」
「ファックです、センセイ。教えて・・・プリーズ」
立ち上がって、逃れようとする蛭魔の身体をさらに引きよせ、吐息が触れ合うほどに顔を近づけて、いやらしく囁いてみる。
そのままメガネを奪い取り、左手で体を撫で上げたその瞬間、
「ファックは、日本じゃ糞ッつう意味だ、よく覚えておきな、糞ガキ」
ガチャリという金属の音と同時に、小型の銃が、驚くほどの速さで眉間に押し付けられた。
「っ!!」
銃を突き付けているのとは反対の手が、ぐしゃりと前髪をかきあげれば、鳶色の鋭い瞳があらわになる。
「猫かぶってやがったな」
「一応こっちも金もらってるんでね」
実を言えば、目的は金などでなく、高名な一族の情報だが、それを知らせる義理など無い。
「こんなことして、てめえ無事でいられると思ってんのか」
確信を持って、クリフォードが低く唸るものの、蛭魔は怯みもしない
それどころか、片目を眇めて挑発的に微笑んでみせた。
その表情に、この男が自分の家の力から逃れられるだけの手を持っていることを知る。
―――不快だ。
父親を除く家族でさえ、自分に逆らったりしないのに、この男は、こんなにも反発的な態度をとる。
この上もなく不快で、苛つく。
なのに、
ぞくぞくするほど――――楽しい。
「ククク・・・」
「おい、トチ狂ったか糞ガキ」
汚い言葉遣いと、粗野な態度で首を傾ける蛭魔に、クリフォードは期待をする。
こいつなら、退屈な日常を少しは面白くしてくれるかもしれないと。
前髪をかきあげたおかげで露になった顔は、中性的でもないのに、妙に危うげで色っぽい。
何より、キツく眇められた目元がイイ。かなり自分好みだ。
「いや、勝負しようぜセンセイ」
「あん?」
「どっちが先に相手に落ちるか」
おそらくは、馬鹿にした表情でも寄越すのだろうと思った蛭魔は、予想に反して、呆気にとられたような、妙にあどけない表情を 浮かべた。
その表情のあまりの落差の激しさに、クリフォードの胸がじんと疼く。
それをごまかすように、先ほど座っていた椅子にどっかりと座った。
「まあ、これからも、どうぞよろしく」
不遜な笑顔を浮かべて見せれば、蛭魔もまたケケケ、と笑って腰をおろした。


「日本語からだったな」
「あー、もうそれはいい・・・今スクールでやってんのは、」
「糞ガキ、さっきのちゃんと教えてやるよ」
「は?、、、っ」
首筋の延長線、耳元のすぐ近く、骨の上に、甘くかすれた声が響く。

「・・・チョーダイ」

知らないはずの言葉が、やけに甘く耳に残った。










うわあああああああ!!!!!(大興奮)
日記で「パラレル生徒クリフォード×家庭教師ヒル魔さんが萌える!ドンとクリフォードが親子だと更に萌える!誰か書いてー!」と クリフォヒル界の片隅で愛を叫ぶケモノでおりましたところ、なんとゆすらさまが文章にしてくださった!
夢?これは夢なの??
しかもクリフォードが糞ガキ中坊ですよー!!ヒル魔さんが猫被ってますよー!!!
んもう最初の「どうぞよろしく、センセイ」からやられっぱなしで最後の「チョーダイ」でらんたの死亡が確認された。
もうホント嬉しいです!嬉しすぎて死ねます!
あ、タイトルの「センセイ」っていうのは頂いた後らんたが勝手につけてしまったものでございますすみません!
ゆすらさま、萌えすぎるクリフォヒル、本当に本当にありがとうございました!
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